やわらかく発光する、黄の肌。村田匠也さんの「黄釉茶壺」と「黄釉茶杯」

やわらかく発光する、黄の肌。村田匠也さんの「黄釉茶壺」と「黄釉茶杯」

村田匠也さんといえば、まず思い浮かぶのは青磁。光を受け止める、澄んだ青が特徴です。輪郭はシャープなのに、肌にはみずみずしさがあって、静かなのに見飽きない。村田さんの器には、そんな“透明感”の魅力があります。

今回取り扱いとなる黄釉は、ただ明るいだけではなく、上品さと陰影がある。「黄釉茶壺」「黄釉茶杯」は、青磁で磨かれた造形感覚の上に、色で少し遊ぶ、村田さんの手腕が見える組み合わせです。

青磁の延長線にある黄釉

湯気の向こうで、器の色が少しだけ明るく見える瞬間があります。黄釉の良さは、それに近い自然な明るさに感じ取ることができます。白でもなく、ベージュでもなく、光を受けてやわらかく立ち上がる黄の肌が、テーブルの上に穏やかな温度をつくります。

まず心地いいのは、形のまとまり。ころんとした胴に、すっと伸びる注ぎ口。持ち手の輪も大げさではなく、指の居場所だけをきちんと用意してくれている感じがします。茶壺は“注ぐための道具”ですが、この茶壺は、置いてあるだけで場が整う。お茶を淹れる前から、すでに背筋が伸びる感覚になります。

茶杯は、口縁にほんのわずかな揺れがあって、そこが愛嬌でもあり、繊細さでもあります。均一すぎない輪郭が、口当たりをやわらかく感じさせる。ふっと息を抜いて飲める飲杯。こんな杯がお茶の傍にあったなら。

口は広がっていますが浅すぎないので、お茶の香りが立ちやすいのも嬉しいところです。

春を迎え、冬を温める組み合わせに

朝の軽い煎茶でも、夕方に少しだけ飲む烏龍茶でも。あるいは白湯でも。黄釉はお茶の色を強く主張しないので、気分や季節でお茶を変えても、ちゃんと受け止めてくれます。きちんと淹れても、ラフに淹れても似合う頼もしさもあります。

柔らかく発光するような黄釉に合わせるなら、なめらかな陶器の白や無垢の木、温かい印象の布がぴったり。春を迎える設えにしても、寒い冬の気分を変える設えにしても素敵です。

お手入れと扱い

使ったあとは、早めに湯でゆすいで、しっかり乾かす。これだけで十分きれいに保てます。もし香り移りが気になるときは、ぬるま湯でゆっくり時間をかけて。黄釉のやわらかな肌は、使うほど表情が落ち着いていくので、気負わず“日常の道具”として育てていけるのも魅力です。

青磁で研ぎ澄まされた造形の上に、黄釉で少しだけ遊ぶ。村田さんの作品を好きな人ほど、この“余白”がたまらないはずです。

お茶は、最低限の道具があれば楽しむことができる。けれど、道具が整っていると、同じ一杯でも少しだけ気分が変わります。この茶道具は、その小さな幸せを毎回手元に連れてきてくれます。

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