「米と茶が語らう」- TOKYO TEA JOURNAL VOL.78 巻頭コラム

「米と茶が語らう」- TOKYO TEA JOURNAL VOL.78 巻頭コラム

TOKYO TEA JOURNALの巻頭コラムをご紹介。お茶のこと、うつわのこと、お茶菓子のこと。
私たちが企画した商品やよいと思った品に、向き合って、改めて見つめてみて思ったことや考えたことをお伝えします。

米と茶が語らう

香ばしい炒り米と、繊細な茶葉。日本の食卓に馴染み深い二つが、一杯のなかで出会い寄り添う。その素朴な組み合わせが、玄米茶の豊かさを形づくっている。

お湯を注げば、炒り米のやわらかな甘さが鼻先をくすぐり、安心感のある味わいがじんわりと広がる。忙しい一日の中で、ふと心が緩む瞬間だ。

玄米茶は、庶民の暮らしの知恵から生まれた。昭和初期の京都で、鏡開きの際に出る餅の欠片を勿体ないと考えた茶商が、これを炒って茶葉に混ぜたのが始まりとされる。お茶と米、この身近な二つが重なり合い、一つの飲み物になった。

私たちはその形をただ受け継ぐのではなく、現代にふさわしい玄米茶を考えてきた。品質の良い煎茶の風味をきちんと味わいたいなら、「あとのせ」で工夫すればいい。つまり、「三煎目に玄米を後入れする」スタイルを提案した。

最初の二煎はお茶の清らかさを、三煎目は玄米の香ばしさを。一度で三つの変化を味わえる体験が生まれる。

玄米と煎茶をブレンドした商品を作る時、茶葉は高知県の浅蒸し茶を選んだ。全国的にはあまり知られていない産地だが、山間の傾斜地で育った茶葉は、素朴でやわらかな味わいを持つ。玄米と心地よく響き合い、すっきりとした調和を生み出す。

ペットボトルでも広く親しまれる玄米茶だが、急須で淹れる一杯は別物だ。注ぐときの香り、茶杯を伝う湯気、飲み干した後の余韻。

ゆっくりと茶を淹れる時間は、季節や日常のささやかな変化を感じるひとときとなる。香りに包まれて湯をすする時間。そこには、過ぎ去る日々の中で少し立ち止まるような安らぎがある。玄米茶は、素朴さの中に豊かさを宿し、暮らしに寄り添う一杯である。

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